訪問者
昼寝をしていると、ベランダから10人ほどの高齢者が入ってくることがあった。
ガラス戸を通り抜けて、私を囲むように、並んで見下ろしてくる。
全員が、戦死をした霊だ。
手に家族写真や思い出のある品などを持っている霊もいて、戦争によって普通の生活が過ごせなかった怒り、家族と離れ離れになった悲しさなどを訴えに来る。
いつも私は彼らが話し終えるまで、ただ聴いていた。
誰かに聴いてもらうことで、少しは心が軽くなるのだろう。
そして、彼らは消えていった。
別の日。
夕方にアパートに戻り、部屋のドアを開けた瞬間、お線香のにおいで驚いた。
玄関を上がると、更ににおいが強くなってくる。
それに加えて、誰かがいる気配がした。
ゆっくりと廊下を進み、1LDKの部屋を見渡す。
部屋には、誰もいない。
右後ろに気配を感じて振り返ると、洗面台の前に座っている女性の霊。
長い黒髪、顔をひざにつけて座っているから、表情は見えなかった。
しかし、じっと見ていると、彼女についての情報が伝わってきた。
20歳くらいの女性で、数か月前、事件に巻き込まれて亡くなっていた。
彼女の家族が、初盆の為、彼女が成仏することを願って、お線香をずっと焚いているようだった。
そのにおいが彼女を通して、私の部屋に充満していた。
結局、彼女は3日間、私の洗面台の前に現れたり消えたりを繰り返しながら、自分の想いを少しずつ吐き出していった。
また別の日。
仕事が休みで、久しぶりに部屋でソファーに座り、ゆっくりテレビを見ていた。
すると突然、テレビ台の前を左から右へと走り、ガラス戸をすり抜けて、ベランダへと出ていく者がいた。
身長が20センチもないような、小さな男性。
サンタクロースのように、赤い服と帽子を身につけていた。
以前、数人の芸能人がテレビ番組で、小さなおじさんを目撃した、と話していたことを思い出した。
これが、小さなおじさんか!?
初めて会った小さな人は、親しみがわいた。
数日後、またテレビ台の前を走る、小さなおじさん。
私に見られないように、必死で走っている様子だった。
「丸見えですけど~」と、小さなおじさんに教えてあげた。
すると、姿を消した。
その数日後。
夜中、目に光を感じた。
まぶしいな、と思いながら目を開けると、ベッド近くに置いてあったハンガーラックの上に、二人の小さなおじさんがいた。
一人は、顔なじみの細身に細長い顔。
もう一人は、丸顔で背の低いおじさん。
二人が私の目に向けて、エメラルドグリーン色のレーザー光線をあててくる。
「夜中に何してるの?」
あまりにもまぶしく、手で光を遮断しようとしたが、手のひらを突き抜けて目に光があたる。
目で見える物質世界と違い、彼らも光線も、目では見えない世界に属しているからか、いくら手のひらで遮断をしても無理だった。
いたずらっ子のように、楽しそうに光をあててくる小さなおじさん達に、どうすることもできず、すっかり眠気も吹っ飛び、とりあえず目を閉じた状態で横になっていた。
しばらくすると飽きたのか、おじさん達は消え、まぶしさから解放された。
目に光をあててきた意味は、なんだったのだろう。
その日以降、彼らは現れなかった。
しかし、代わりに龍や宇宙と繋がるようになった。
これは以前に投稿した、【瞑想と龍】や【瞑想と宇宙】を読んでください。
今まで、いろいろな場所に住んできたが、この部屋が一番、多岐にわたって不思議な体験をした。
霊や小さなおじさん、龍や宇宙とも繋がりやすい空間。
部屋の間取りも良く、気の流れが良かったことも、関係していたのかもしれない。