鳳凰(ほうおう)
夢を見た。
黒煙の中にいるかのように、歩いても歩いても視界が悪く、自分の足元でさえ見えない。
息苦しく、酸素を求めて深呼吸をしたいのに、刺激臭の臭いで、それもできずにいた。
自分がどこへ向かって歩いているのかもわからず、時々、黒煙が薄まる箇所はあっても、そこには深緑色のモヤがかかっている状態で、結局、何も見えない。
周りに人の気配やうめき声のようなものはするが、歩いても歩いても誰にも会わない状態が続いていた。
突然、煙やモヤが消え、目の前に石垣があることに気づいた。
その石垣の上には、大きな緑色の筒が空に向かってそびえ立っていた。
筒の先端に、鳳凰(ほうおう)がいた。
やがて羽を広げ、上空を優雅に飛び回る。
羽の先端が濃いピンクや紫に染まっていて、柔らかなオレンジ色の光を体から放っていた。
私の頭の中に、音楽のようなものが流れてくる。
鳳凰が羽ばたくごとに視界は良くなっていき、光あふれる緑豊かな景色が広がっていった。
そこで目が覚めた。
鳳凰を見るのは、久しぶりだった。
前に見たのは沖縄に住んでいる頃で、朝、海沿いを車で走っている時だった。
朝焼けが広がる穏やかな海の上を、朝日に向かって飛んでいた。
その時も、オレンジ色の光をまとっていて、その姿はとても神々しいものだった。
同時に、私の頭の中に直接、鳳凰が奏でる音楽のようなものが流れてきていた。
これは耳で聴く音楽とは異なり、光にメロディーがついているようなものだ。
それは、私の身体を光で満たし、元気を与えてくれるエネルギーとなった。
沖縄の同じ場所の海上で、龍も目撃したことがある。
龍は強く荒々しいが、鳳凰は、しなやかで優雅な印象だ。
鳳凰の放つ光と奏でる音楽のようなものは、現在の人類や地球に、癒しや再生を与えてくれる。